実録『或る老人の場合』
    :はじまり編
  (社)大阪建築士事務所協会
機関紙 「まちなみ」より
有限会社フォルム・ディ
代表取締役 河添 佳洋子

これは、ひとりの資産家老人が見舞われた建築騒動の物語で、私が接した事実に、多少脚色を加えたフィクションです。
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1【プロローグ
2【1月7日夜
3【1月9日夜
4【1月16日昼下がり
5【1月19日夜
6【2月10日昼下がり
7【2月15日昼下がり
8【2月17日夜
9【2月18日
10【2月21日夜
11【2月28日
12【2月29日
13【3月1日
14【3月4日夜
15【3月6日
16【3月4日
17【ちょっとだけ後日談
18【おしまいに

【3月4日夜】
木曜日、家政婦が帰った晩方、紳士が訪ねて来た。
老人は、月曜日以降、押しかけてこなかった紳士に、「まともな人間や」という印象をもっていたので、これまでのように応接間に通した。
娘の友人である不動産会社の事を話した。娘の友人として、日曜日にも関わらず出てきてくれる事や、色々考えてくれている事などを、話した。こんないい友人が一所懸命になってくれているのだから、もう少し時間が欲しいと言うつもりだった。
ところが紳士は、不動産会社の社名を聞いた途端、その会社のことを味噌クソに言い始めた。そんな悪口雑言が紳士の口をついて出てくるとは夢にも思っていなかった。驚いた。

(続く)


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