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【3月8日】
翌週の月曜日の午後、建築家は老人と娘を伴って、無理やり時間を割かせた弁護士を訪れた。前日の日曜日、知り得る限りの情報を整理してメモにし、月曜の朝に娘にFAXして内容を確認させ、弁護士に事前に送っていた。
弁護士は、B社に関する情報を持っていなかったので、前もって情報を得ようとインターネットで社名検索すると、最初にヒットしたのが、被害者サイトだったので驚いた。そこに紹介された内容は、まさしく訪問販売被害だったのだ。
その弁護士は、高齢者が被害者となった事件を多く手がけており、老人の扱いは手馴れていた。ゆっくりと大きな声で話し、相談にたっぷりの時間を掛けてくれた。老人の話を、急がせる事無く聞いた。これまで手がけた事件を紹介し、老人の自発的な決断を助けた。
老人は納得し、B社と金融公庫・保証機関に対する契約解除の手続きを、弁護士に依頼した。
B社が上場企業であることから、弁護士は冷静な反応を期待していた。うまくいけば、相手方の代理人と話し合い、2500万の全額は無理としても、何がしかの金銭は返却されるだろうと楽観もしていた。金銭と書類の返却に3週間程度の猶予を持たせ、書面を送った。
金融公庫と保証機関は、書面が到着してすぐに弁護士に連絡してきた。当然のことながら、手続を中断し、本人からの書類提出によって中止するという、至極当たり前の内容だった。
一方B社はといえば、内容証明で回答期限とした3月末を過ぎても、金銭や書類の返却は無く、連絡すら無い。
(続く)
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