【拝啓 クレーマーA様】
貴方が買い求めた建売住宅は、確かに適法ではありません。けれど、建蔽率や容積率などに違反はありません。そぅ、貴方も今はご存知ですが、耐火性能が確保できていないのです。
しかしこの事は、第三者である建築士が調査して判明したのであって、あなたはその建築士の調査を依頼する前に、事業主に対して、クロスがよじれているとかフローリングに傷があるなどとクレームを付け、内装のかなりの範囲をやり直しさせましたよね。そして、その手直し工事の間、住んでいられないからと、家族4人で高級ホテルのスウィートに滞在し、当然の如くその費用を事業主に負担させましたね。
事業主が承知の上の事ですから、それはまぁいいとしましょう。でも、衣類のクリーニング代に始まって、朝食のルームサービスや、主食堂でのディナーや酒まで負担させるというのは、ちょっと汚いヨ。この事業主がホテルに支払った金額は、200万を超えているそうですよ。
そんな経緯を踏んでおきながら、調査したら耐火性能が無いといって、また、大々的に改修させるそうですね。貴方はヤカラそのものです。ホント、えぇ加減にせぃ!
【拝啓 クレーマーB様】
貴方のご両親は、健康住宅に拘っておられたのですね。だからこそ堅実な建築士事務所に設計監理を依頼し、多少高くついても無垢の木材で仕上げたかったのですね。
けれど、残念ながら施工した工務店がひどすぎました。余りにレベルが低かった。設計事務所の先生は、その工務店とは初めてだったと仰っていましたが、もう少し早く気づいておられれば、こんな事にはならなかったとは思います。
今から思えば、あの工務店がお宅の工事を受注したときは、既に倒産の時期が迫っていたのでしょう。だから工期は守れないし、工事自体も杜撰でした。それでも設計事務所はよく頑張られたと思いますよ。現場が間違えば、それを補う方法を懸命に工夫なさったし、懇切丁寧な指示書を沢山出しておられます。
最初の間違いは基礎でした。墨出しを間違ったので、土台と基礎天端が3pほどずれたのです。これに対して設計事務所は立ち上がりの増し打ちを指示しました。この立ち上がりが、実は在来工法の浴室と脱衣室との間仕切り部分だったので、増し打ちによって脱衣室が狭くなり、予定していた洗面台が入らなくなったのです。
他にもこのようなミスが重なったのでしょう、貴方は工務店と交渉し、工事費を10%ほど値引きさせました。
その後、建前から1ヶ月ほど工事が停止したとき、貴方は設計事務所に対して毎日のように工事再開を催促していました。設計事務所は工務店に対して度々連絡を試み、その都度あなた方にも連絡していました。いよいよ別の工務店に替えなければいけないだろうかと考えつつ、現場確認に行ったとき、先生は驚きました。現場が動いているではありませんか。
工務店に聞くと、貴方に呼び出され、更に20%ほどの値引きを迫られて工事を再開したとの事でした。工事が停止していた理由は知りませんが、設計事務所が知らない間に工事再開されたら、適切な監理を行なえるわけがありません。設計事務所はこの時点で監理を降りるべきだったのです。
でもこの先生は、やはり自分が設計した住宅がかわいいと、呼ばれもしないのに、現場に通ったそうです。
そうこうして、ようやく完成したものの、出来栄えは誉められたものではありません。工務店は、入居に際して残金の支払いを求めましたが、あなた方は支払わなかった。この時点で、工事費は契約工事費の70%程度にまで値引きしていたのに・・・です。
挙句、あなた方は工務店に損害賠償を求めて訴訟しました。工務店はこの時点で契約金額の半額程度しか受領して居らず、この訴訟と同時期に倒産してしまいました。会社が無くなっているのだから、裁判でも十分な反論は行なわれず、あなた方の主張がほとんどそのまま通りそうな気配が見えてきたとき、あなた方はなんと、設計事務所を訴えたのです。工務店が倒産してしまったから、お金が戻ってこない事が理由でしょう。
設計事務所にとっては寝耳に水で、あれだけ苦しく辛い監理を完了させ、しかも監理報酬を全く請求していないにもかかわらず、監理ミスという事で取り壊し建替えを求められたのです。
懸命の抵抗も空しく、設計事務所は負けました。そして監理報酬はおろか、設計報酬として受け取っていた金額とほぼ同額の賠償金を支払ったのです。
結果、あなた方はあの家を、請負契約金額の40%程度で手に入れたんですよね。そして、あの時のまま手直しもせず住んでおられる。裁判中には「怖くて住んでいられない」って主張なさっていたのに。
貴方が失業中という事は知っています。ご両親が住宅を新築するお金があるのなら、自分に廻して欲しいと思われたのですね。だからといって、貴方の遣り方は誉められたものではありませんよ。ホント、えぇ加減にせぃ!