信書:憤懣と自戒を込めて

拝啓 建売住宅の代願を主たる業務
としておられる建築士事務所様
  (社)日本建築士事務所協会連合会
機関紙 Argus-eyeより
有限会社フォルム・ディ
代表取締役 河添 佳洋子

 先生は、本当によく儲けていらっしゃって、大変結構でございます。
多い月には、100件以上の確認を申請されるそうじゃないですか。凄いですね。しかも最近は鉄骨造が増えていますから、1件あたりの報酬も上がっているのでしょうね。羨ましいなぁ。
先生が受託される業務はあくまで『代理申請』であって『設計』ではないという事は存じております。また、あの建売業者は、同じ間取りで外装の色だけ変えて何軒も建てているという事も存じております。ですから、ひとつの建築図で数軒の確認申請が可能だという事も。

 昔、やばい橋を渡ってばかりの一級建築士事務所が、建設省に呼び出されたりして登録を取り消されたと思ったら、今度は二級建築士事務所として商売を始められたという話を聞いた事がありましたが、先生は、そこまでやばい事はなさらない。
でもね、確認申請用の平面図と計算書の平面図が、間取りは同じだけれどサイズが違うというのは、いくらなんでもちょいと雑に過ぎますよ。勿論、確認検査機関がそれすら見過ごしているという怠慢は、それはそれで糾弾すべきでしょうし、建売住宅の売主も、見もしないで「ちゃんと構造計算して貰ぅてまっせぇ」と買主に手渡している事も、非難されるべきかもしれません。しかし、卑しくも有資格者としての建築士事務所を生業とするなら、最低限の技術的な検討を怠ってはいけません。
耳にした噂によると、先生の事務所では、数十種類のPLANを用意しておられ、持ち込まれる敷地の形状にはまるPLANを嵌めていらっしゃるとか。それは別に、誹謗すべき事でもなんでもないのですが、しかし・・・。あっそうか。住宅メーカーもそうですね。そういえば公営住宅もそうだし、分譲マンションも似たり寄ったりかぁ。
でもね、でもでも、やっぱりね、敷地を見て周辺環境を見て、そこだけの一品を計画して設計して・・・っていうのが、設計事務所の本領というかそうあるべきだというか、・・・。うぅん、そんな事ないんですね。



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