3.消防(防災)設備のメンテナンス

消防用設備等を設置することが消防法で義務づけられている建物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、
その設置された消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければなりません。

(消防法第17条、17条3の3、17条の4)

消防用設備等は、いつでも確実に機能を発揮するものでなければならず、日頃の適切な維持管理が必要です。
このため、消防法では消防用設備等の点検・報告ばかりではなく、整備を含め、適正な維持管理を行うことを
防火対象物の関係者に義務づけています。
また点検を行うことのできる資格、消防用設備の種類に応じて行う点検の期間、点検の方法も定められています。

(消防法施行規則第31条の4、告示 昭和50年4月1日 消防庁告示第3号)
・ 法第6条⇒消防法施行令 別表第1により、共同住宅は第(5)項ロで示される防火対象物に該当する。

法定点検を行なわなかったり、虚偽の報告をした場合、30万円以下の罰金または拘留に処せられます。






      




  
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消防法第17条の3の3【消防用設備等又は特殊消防用設備等についての点検、報告】
第17条第1項の防火対象物の関係者は、
当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(中略)について、

総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあっては
消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、
その他のものにあっては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
防火対象物:(ex.共同住宅:(5)項ロ)

消防法第44条
次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。
十一 第8条の2の2第1項(第36条第1項において準用する場合を含む。)又は第17条の3の3の規定による報告をせず、
又は虚偽の報告をした者

                                  
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消防設備には、消火設備・警報設備・避難設備があります。
それぞれの設備に応じて、6ヵ月毎の機器点検や1年毎の総合点検が課せられ、マンションの場合にはその点検結果を
3年毎に消防所長に報告しなければなりません。

消防設備の定期点検費用は、異状に高いあるいは異状に安い場合があるようです。
前者は、いろいろな会社の中間マージンが加算されているし、後者の場合は正規の技術者以外が点検するなどの
問題がありそうですので、複数社から見積を採ってみてください。

【機器点検】:6ヵ月毎
消防設備の損傷や腐食がないかを外観点検するとともに、実際に設置されている設備を作動させ火災時に
有効に作動するかを確認します。

作動点検:消防用設備等に附置される非常電源(自家発電設備に限る)または動力消防ポンプの正常な作動を、
     消防用設備等の種類等に応じ、告示で定める基準に従い確認すること

機能点検:消防用設備等の機器の機能について、外観からまたは簡易な操作により判別できる事項を消防用設備等の
     種類等に応じ、告示で定める基準に従い確認すること

外観点検:消防用設備等の機器の適正な配置、損傷等の有無その他主として外観から判別できる事項を、
     消防用設備等の種類等に応じ、告示で定める基準に従い確認すること

【総合点検】:1年毎
機器点検に加え、配線点検や放水試験などさらに詳しい内容について機能を確認します。
消防用設備等の全部もしくは一部を作動させ、または当該消防用設備等を使用することにより、
当該消防用設備等の総合的な機能を消防用設備等の種類に応じ、告示で定める基準に従い確認すること

【点検結果報告】非特定防火対象物(ex.共同住宅・倉庫.etc):3年毎
消防設備を点検する会社は他沢山あります。
ひとくちに消防設備と言っても、設置工事を考えれば、消火設備は殆どが給水設備工事、警報設備は電気設備工事、
避難設備は建築工事で行なわれ、つまり新築工事時点では専門領域がそれぞれ相違しています。
それらの施工者に点検依頼すると、煩雑になりかねません。
これらを一括して点検してくれる『防災設備専門業者』もありますが、社名はそんな感じでも、消火設備のみとか
警報設備のみというところもありますので、それぞれの建物にある消防設備の種類と見比べて検討することが必要です。

                                   

消火器について、メーカーは8年を目途に、消火器本体に有効期限を記載しています。
設置環境が良く点検で異常がなければ、メーカーの有効期限にこだわらなくてもよいでしょう。

『本体の変形や錆や傷が無いか?』『ホースの劣化は無いか?』『圧力ゲージのある場合ゲージのメモリが
正常内(緑色の範囲)を指しているか?』などは、誰でも確認できますので、異状を発見した時点で交換してください。
まれに、「消防署の依頼で来ました」などと言って、消火器の押し売りが来るようです。
管理員のいるマンションには滅多に来ませんが、自主管理の場合や賃貸マンションのオーナーは注意して下さい。

点検周期
6ヶ月(機器点検) ※総合点検はありません
費用
10個程度なら、概ね7000円程度
製造後3年以上経過した消火器は、1~2本を抽出して機能点検します。
その費用は、1500円(圧力ゲージなし)~3000円(圧力ゲージ付)です。

取り替える場合には、リサイクル費用(≒2500円)が必要です。ネットで購入する場合には注意しましょう。
また、大手メーカーや消防設備業者から購入すれば、下取り制度も用意されています。

                                   

屋内消火栓は、人が操作することによって火災を消火する設備であり、水源、加圧送水装置(消火ポンプ)、
起動装置、屋内消火栓(開閉弁、ホース、ノズル等)、配管・弁類及び非常電源等で構成されていて、各部位について、
6ヶ月毎の機器点検と1年毎の総合点検が必要です。
またホースや配管は、設置後10年を経過したものは、3年毎に耐圧試験を行わなければなりません。

機器点検は、目視と簡単な作業(ex.バルブ開閉は容易か、著しい錆が無いか等)に依る確認ですが、総合点検では、
非常電源に切り替えた状態で、直接操作部や遠隔起動装置を起動させ、任意の屋内消火栓より放水し、加圧送水装置が
正常に作動するか・放水圧力が規定圧力範囲内か・放水量が規定量以上か、等について点検します。

点検周期:機器点検(6ヶ月)総合点検(1年)
費用  :機器点検・総合点検とも20,000円程度
        ホース耐圧試験:30,000円程度(単独の場合)
        配管耐圧試験 :70,000円程度
※ 左写真のボックス上部は、警報装置です。

屋内消火栓には非常用電源が設置されています。
消防設備点検では主に外観点検となり、発電機自体の点検は、『電気設備の点検』で行ないます。

定期清掃や日常清掃の際に、屋内消火栓の水を利用しているマンションがあるという噂を聞きました。
頻繁に使用すればホースなどの劣化を招きます。いくら毎年総合点検しているからと言っても、大変不適切です。

                                   

連結送水管は、マンションの場合だと、外部からの消火活動が困難な7階建て以上の建物に設置されます。
屋外からの放水に加えて屋内からも消火活動することが得策ですが、地上からホースを伸ばして放水する事は、
高層建物では無理があります。
それで、消防隊は空のホースを上階まで運んで放水口に接続し、ポンプ車で加圧された消火用水を送水口から送水して、
消火します。

送水口は、通常は道路付近に設置されますので、メンテナンスが行き届いています。
ところが放水口を内蔵するボックスは、多くの場合屋外階段など「裏側」に設置されて目が行き届かないことが多く、
また鋼板に塗装されたものを用いていますので、外観はそれなりに綺麗でも扉を明けると錆だらけということも珍しく
ありません。
ボックスの状態が消火活動に影響するものではありませんが、扉周囲がさび付くと開放が困難にもなりかねません。
共用部の清掃の際に、ときどき扉を開けてチェックするだけで、随分違ってきます。

連結送水管の点検は、実際には配管の点検で、消火ホースと同様、設置後10年を経過したものは、
3年毎に耐圧試験を行わなければなりません。
また70m以上の建物の場合、ポンプ車による送水を補助するため、非常電源設備を備えた加圧送水装置を
設けていますので、この点検も必要です。

点検に要する費用は、建物高さや系統数によって変化します。
                                   

排煙設備は、消防法ではなく建築基準法に規定されたもので、別項『特殊建築物等定期調査・定期検査』のうち
「建築設備の定期検査・定期報告」の対象となりますが、防災設備の一種として。ここで説明しておきます。

火災時に発生する有毒な煙や熱を排出して、避難経路を確保するのが排煙設備で、機械排煙と自然排煙とがあります。

・ 機械排煙設備:手動開放装置を操作することにより排煙口が開き、自動的に排煙機が作動して煙や熱を外に
         出します。
・ 自然排煙設備:排煙窓を手動開放装置を操作して開放し、煙や熱を外に出します。

いずれも、火災発生時に避難する人が操作するというより、到着した消防隊が操作することを想定したもので、
『消火活動上必要となる設備』という位置づけです。

春秋の中間期に排煙窓を通風孔として開閉している建物があります。
頻繁に操作するとワイヤロープの劣化を早めてしまいますので、その場合には頻繁に自主点検するなどして、
注意して下さい。


                                   

火災が発生し、感知器が火災を感知すると信号が受信機に送られ、自動的に警報が鳴ります。
また、感知器より先に気づいた人が警報を鳴らせるための押しボタン(発信機)もあり、この発信機の場所を示すために、表示灯(赤色ランプ)が設置されます。

発信機、地区音響装置(警報ベル)、表示灯を一つの箱に収容したものを、総合盤と呼んでいます。
各住戸内に設置された感知器も点検の対象ですが、ワンルームマンションなどでは、点検時に不在であることが多く、
点検割合が20%という場合も珍しくありません。
不在住戸への立ち入り許可はプライバシーの問題もあってなかなか得にくいものですが、そういう居住者は限られていて、つまりある住戸については何年にも亘って点検できていないと言う状況が続きます。
管理組合或いはオーナーから、不在の場合の措置について申し出てもらうよう進言すべきでしょう。

最近、不在者が多いマンション向けに、外部から機能点検できるシステム(遠隔試験機能・自動試験機能など)が
開発されています。
警報設備更新時期に検討しても良いでしょう。

それぞれの交換時期としてメーカーが推奨している期間は、
・ 感知器:10~15年
・ 受信機:15~20年
・ 発信機・地区音響装置:20年
  です。


                                   

住宅用火災報知機は、戸建住宅やアパート、或いは法令によって自動火災報知設備が免除されている
マンション等の住戸に、設置が義務付けられました。
新築の場合は、平成18年から既に適用されていますが、既存住宅の場合は各自治体で適用時期が異なります。
近畿地方では、奈良県が平成21年、その他の府県は平成23年で、義務化開始時期はいずれも6月1日です。
(但し、泉佐野市と田尻町は4月1日)

【住宅用火災報知機の設置】
・既存設備の見分け方
住戸に自動火災報知設備の感知器が付いておれば不要です。

・賃貸住宅の場合の設置義務
消防法によると、住宅の用途に供される防火対象物の関係者に設置義務があるとされています。
関係者という意味では貸主、管理会社、借主すべてに設置義務があると解釈できるのですが、
慣例的には居住者に安全な建物を提供する責任があるという観点から、貸主が設置することが多いようです。

消防法で定める点検義務はありませんが、月に1度はご自身でテストボタンまたはひもを引いて、
正常に機能するか確認しましょう。
自動試験機能がついている機器で、異常ランプが性能の異常を知らせている場合は、機器を交換しましょう。

                                   


バルコニーの床面に設置されているハッチ上蓋を開くと、自動的に下蓋も開いて、内蔵されたハシゴが降下します。
垂直避難口とも呼ばれ、バルコニーからの避難を可能にする重要な設備です。
上下階で有効60cm以上離れて設置されています。
自分のバルコニー床面にある避難口に物を置く住人は居ないでしょうが、上階ハッチの直下には、往々にして植木鉢や、
酷い場合空調室外機や物置を置いている例があります。
ただでさえパニックに陥っている避難を、より危険にする行為です。

 ハッチは鋼板製のものが多く、雨ざらしでもありますので劣化が早く進みます。
適切に塗装替えし、劣化が激しければ交換も検討しなければなりません。

 また、1階に店舗などがあるマンションでは、2階ハッチの直下にテントや空調機があって避難を妨げている
ケースがあります。
その店舗との交渉が大切ですが、話し合いが成立しない場合は、据え置き型の避難ハシゴや緩降機の設置を検討
しましょう。
※ 緩降機は、外部にアームを突き出して滑車を取り付け、ロープをかけて降ります。
  一般的ではない避難器具ですので、利用する可能性のある住人への周知徹底を要します。

  マンションでは、共用廊下のほかにバルコニーからも避難できるという『2方向避難』によって、
法令上の特典を受けていることが多いので、この大前提は維持しなければなりません。

避難器具の点検を単独で行なうことは少なく、殆どの場合は他の消防設備の点検と同時期に行ないます。
その場合の費用は、避難ハッチ1箇所あたり1,000~2,000円程度、緩降機1台あたり7,000円程度でしょう。
ただしこれも、専有部に立ち入っての点検ですので、居住者の理解と協力を要します。

                                   

誘導灯は、停電時でも点灯するようバッテリーを備えています。バッテリーの寿命は4~6年とされ、
また灯具自体の適正交換時期は8~10年で、耐用限度は12~15年とされています。
これは非常用照明器具も同様ですので、大規模修繕工事にあわせて器具交換・中間時期にバッテリー交換を計画すると
良いでしょう。

誘導灯の光源はこれまで蛍光ランプでしたが、
近年LEDのものが発売されています。

★当然の事ですが、誘導灯は、避難口の方向を向いていなければなりません。

                                   

非常用照明は建築基準法に規定されたもので、別項『特殊建築物等定期調査・定期検査』のうち
「建築設備の定期検査・定期報告」の対象となります。


非常用照明も誘導灯と同様のバッテリーを備えており、交換時期も同様です。

ただ、特にマンションの場合、屋外階段や開放廊下に設置されているものが多く、
上右写真のように激しく劣化しているものが多く見受けられます。

中高層の場合階段を利用する機会が少なく、また廊下には各住戸の玄関灯が設置されていて、器具の劣化や
球切れに気づかずに放置されていることも少なくありません。
この状況は、住まい手にとってはあまりに気にならなくても、来訪者には管理不良を強く印象付けてしまいます。
特に球切れは、定期検査を待たずに自主的に交換するようにするとよいでしょう。

                                   
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